新築時に床暖房の循環液は2年〜3年に1回の交換が必要と言われました。
交換せずに劣化が進んだ場合の最悪のリスクを聞いたところ、
防錆効果が失われるとボイラー内部の金属パイプ部分の腐食するので
最終的にはボイラー故障になるとのこと。
ただし循環経路のポリエチレンパイプは樹脂なので悪影響が及ばない。
循環液の交換を3年に1回として1回の作業費用3万円とすると
12年目で4回の交換となり累積で12万円の交換費用が発生し、
ボイラー寿命を標準的に判断するとそのあたりでボイラー交換。
循環液を全く交換しなかったとして10年後にボイラーが壊れても、
その時に発生するのはボイラー交換費用のみ。(そこで循環液も交換)
上記を比較した結果、ボイラーがちょっと早めに故障することを承知で
循環液の交換をしないことも合理的な判断ではないかと考えました。
そして循環液の交換をしないまま15年経過しましたが
床暖ボイラーは故障せずに正常に運転できています。
この間にしてきたのは循環液のタンク水位の管理だけで、自然蒸発で
減少する循環液タンクにブリタで浄化した水道水を継ぎ足してきただけです。
数年前からボイラーの故障は予想しているので次期モデルは選定済です。
(同じメーカーで暖房能力と配管位置が全く同じ設計の製品)
ボイラーが壊れる予想をしていたものの、壊れないなら
循環液の交換ぐらいはした方がいいのではと考え、
ネット情報を元にDIYでトライすることにしました。
すると、交換サイクル10年タイプという循環液が出ている!
1998年長野オリンピック施設でも採用されているらしい。
しかも価格は従来品と同等。
あれ、自宅の新築時にはすでに販売されてたのでは?(なぜ使ってくれないの。)
今回はこれに交換してしまおうと決定しました。
http://www.showa-water.co.jp/product/product09.htmlAmazonで購入できることも確認。
温水暖房循環液 ショウブラインM−37 
ただし、その前に現在の循環液を交換する必要性を
確認したかったので劣化状態を確認しておくことにしました。
劣化状態は循環液のペーハー(PH)で判断するようです。
三菱電機の技術マニュアルに循環液のPHに関する以下の記載を見つけました。
防錆性能維持のため「2年〜3年に1回」必ず防錆循環液(循環水)の
濃度・PH(7〜11)をチェックしてください。
(循環液を2年〜3年で交換とは記載がない。)
交換を予定している長寿命循環液の製品サイトの記載では
製品のPH値は7.1〜8.1とあり、管理基準値PH6.5〜9.5となっています。

このようなことがわかったので、
循環液のPHを測定するためにAmazonで
デジタルPHメーターを購入しました。(意外に安価)
これにはPH校正用の試薬が入っていましたが、
高い精度を必要としないことに加え、希釈作業が
面倒なので薬局で精製水を購入して校正用に使いました。
精製水のPHは大気中の炭酸ガスが溶け込んで
弱酸性(5.3〜5.6)らしいので5.4として校正。

循環液はボイラーの循環液バルブから抜きます。
ここにホースニップルという継手金具をねじ込んで
ホースをつなぎ、床暖房の運転中にバルブを開けば
循環液が出てきます。(たぶん循環液交換用バルブ)
ここからペットボトルに採取しました。
その結果、循環液の測定値はPH7.8。
予想外に劣化していない模様で、交換は先延ばしに決定。

予想に反して循環液が劣化しない原因を考えてみました。
従来は温水回路の素材が銅パイプなどの金属製だったため
循環液が金属との常時接触によってPH変化が進行するので
防錆効果を維持するために数年毎の循環液交換が必要で
あったのではないかと思います。
しかし床暖房の温水回路に樹脂管を使用した場合は、
循環液が金属と接触する部分がボイラー内部だけなので
循環液の劣化が極めて起こりにくいのではないかと思います。
温水配管が樹脂管であることに加え、循環液に
ロングライフ(設計寿命10年)の製品が使われていた可能性もあります。
15年で劣化が全く確認できないということは、
今後も5年や10年とか交換することなく使えるのか。
そうなるとボイラーの寿命まで循環液は交換不要ということなのだろうか。
ボイラーの寿命まで循環液の交換は考えなくていいのかもしれませんが
今後はとりあえず2年に1回でも循環液のPHを測定してみようと思います。

取り出した循環液は測定後にボイラーに戻しました。
今回は循環液の取り出し用にホースニップルと
ホースを購入したので、いつでもDIYで交換作業を
できる体制が整いました。
これで床暖ボイラー本体の交換もDIYでできそうです。